大阪市の空き家事情
ひったくりNo.1もなんのその!何の自慢にもならない「空き家」戸数が政令都市ワースト1の大阪市。ここでは大阪市の空き家事情と「空き家」の何がアカンのか?どうするのが最善か?お話しさせてます。
住めない・売れない・建て替えられない…「空き家率日本一」大阪市
全国の空き家住宅は約820万戸にものぼるります。うち大阪市は約28万戸もあり、空き家率も17.2%(全国平均13.5%)。いずれも政令市の中で最悪です。特に賃貸にも売却にも出せない空き家、いわゆる不動産として流通していない「放置空き家」は4分の1を占め、大きな問題となっています。所有者が「空き家にしておく理由」で最も多い回答が、「物置として必要だから」で、次に「解体費用がもったいない」。以下、「特に困っていない」「将来使うかも知れない」と続きます。とは言え!放置すればするほど、それはそれで問題なのです!
空き家が多いとなぜ問題なのか。
放置されている空き家の多くが老朽化していて、地震や火災が発生すると周辺に大きな被害を与えかねません!ほかにも、屋根瓦が落ちたり、塀が倒れたりして通行人が巻き込まれるリスクもあります。放火などの犯罪や非行の温床にもなる怖れもあり、環境や衛生の観点からも、街全体のイメージダウンや活力低下にもなっています。その結果、人口減少にもつながりかねませんよね。では何故、大阪市が不名誉にも?「空き家」戸数ワースト1なのでしょうか。
戦災逃れた昔ながらの長屋が「足かせ」に
大阪市の中で、空き家問題が深刻になっているのが生野区です。空き家率22.4%は市内24区ワースト3位ですが、放置空き家率は8.7%(市平均4.5%)と極めて高く、特に古い長屋住宅の空き家が多いのが特徴で、昭和55年以前に建てられた長屋は区内の住宅全体の12%を超えます。大阪市全体で見ても、生野区は30.5%を占めていて、2位の東住吉区(9.9%)を大きく上回っているのが実情です。その最大の理由は、同区周辺で太平洋戦争の空襲被害が少なかったことが挙げられます。焼け野原になるのを免れた昔ながらの下町風情の街並みが、皮肉にも空き家が増える原因にもなっています。長屋の場合、4軒長屋、6軒長屋といわれるように、複数の管理者が絡み、その上「相続で代替わりすると連絡も取れなくなり、改築もリフォームもままならなくなる」とか…これが大阪市の空き家の障壁となっている一つの要因かもしれません。
さて、「空き家」と聞くとどんなイメージを持ちますか? そもそも何で空き家が存在しているのでしょうか?
空き家が深刻な問題になっていると、テレビや新聞などで目にした方もいるかもしれません。空き家というのは親から実家を相続したもののや住む予定はなく、とりてて活用らしい活用もできてない、こういった状況の住宅・不動産を一般的に「空き家」と呼びます。
空き家問題は不動産を所持している方は「いつかは直面する現実」です。相続や贈与などで取得した住居を居住実態がない状態で放置しておくと、様々なトラブルの原因になるばかりか、固定資産税など毎年のようにムダな出費がかさんで家計や人生設計に大きなマイナスを生む「やっかいな資産」となります。
そこでこの記事では売却や賃貸その他の活用を視野に入れながら、空き家問題をどう解決すべきか一緒に考えていければと思って書いてみました!
空き家所有者が抱える問題
空き家の多くは高齢者が住んでいた自宅・もしくは親から子供達が相続した実家というのが多い傾向にあります。
そのため、空き家には家族との思い出が詰まっており、売却することに抵抗がある方が多くいらっしゃいます。
それぞれの立場でどのような問題を抱えているのでしょうか。
親が自宅を所有している場合
高齢になる親が老人ホームなどの高齢者住宅や子供宅に転居して自宅が空き家になった場合、自宅を売却するのはいくつもの壁があります。片付けを始めても昔のことを思い出してなかなか整理がつかなかったり、最期は家に戻りたいと思っていたり、認知症を患い売却の判断ができなくなってしまっていたらというものです。子供たちから売却を勧めても、同意してくれる親は多くありません。このようなことから高齢者の自宅は長い間、空き家になってしまうのです。
- いつかは自宅へ帰りたい/最期は自宅で迎えたい
- 思い出が詰まっている家を売りたくない
- 認知症になっているなど売却の判断ができない
子供が実家を相続している場合
実家の売却に躊躇するのは親だけではありません。子供たちは実家から離れたところに住んでいる事が多く、空き家についてどこに相談したら良いかわからない場合があります。また売却について兄弟間で争いになってしまうケースも多々あります。
兄弟の一人が売却する事を主張し、別の兄弟が売却に強く反対するといった具合です。どっちの主張が正しいとも言えず、妥協することも難しいのが現状です。
- どこに相談したら良いか分からない
- 兄弟間で揉めている
- 実家の売却に強い罪悪感がある
このように実家が空き家になってしまう理由は環境によりことなります。売却を決めるまでに数年、長いと10年以上かかることもあります。その間、誰も利用していない住宅は一気に傷んでしまいます。老朽化が進むと屋根や外壁などの建材が剥がれ落ちたり、建物が傾いて倒壊する危険性が高まったりとさまざまな問題を引き起こしてしまいます。
また、庭の管理が不十分な場合、生い茂った雑草が景観を乱すだけでなく、蚊やスズメバチや害獣を発生させてしまうこともあります。
2015年5月に空家等対策措置法が施行されてから「空き家問題」という言葉を耳にする機会が多くなっています。そして、空き家問題は所有者の視点ではなく、近隣住民の視点で語られることがほとんどです。その結果「空き家は地域の景観や安全を損ねるもの」という負のイメージがついてしまいました。以下は空き家トラブルのよくある事例です。
空き家トラブル
トラブル1:放火
放火は、放置された空き家の周辺住民が、最も不安視する問題の1つです。敷地内にゴミが散乱したり雑草が繁殖していたりすると、あっという間に火が燃え上がり、大火災へと発展する恐れもあります。
トラブル2:ゴミの不法投棄
人の出入りがないと判断された空き家に、ゴミの不法投棄されているケースがよくあります。空き缶や古雑誌をはじめとした生活ゴミだけでなく、家電製品や家具、自転車、布団などを投げ捨てていく悪質なケースも珍しくありません。一度、投棄されると同じ事をする人が後を絶たなくなってしまうのも深刻な問題です。
トラブル3.不審者の侵入、住み着き
空き家の所有者が不在と判断されると、不法侵入による侵入や盗難の被害を受けやすくなってしまいます。見知らぬ人が空き家に住み着き、自分の家のように自由に過ごしているケースも少なくありません。
空き家には、人だけでなく犬や猫、ネズミなどの小動物が住み着いてしまう場合もあります。すると糞が散乱して臭いが充満し、建物の劣化が進んでしまうのはもちろんのこと、周辺住民の方にも多大な迷惑となってしまいます。
トラブル4.地震や突風による家の倒壊
空き家は、一般の住宅よりも早く老朽化が進んでいきます。そのため大きな地震や突風により、外壁の一部が剥がれてしまったり、アンテナ類が倒れて落下したりする危険性も高まります。もし台風で屋根瓦などが吹き飛ばされてしまった場合、周辺の住宅に被害を及ぼす恐れもあるため、空き家であっても人が住んでいるときと同様のメンテナンスが必要不可欠であると言えます。
トラブル5.景観の悪化
自分が住んでいる家のすぐ隣に、まるで廃墟と化していく家があると気分が悪いものです。いつ放火で狙われるか、犯罪の舞台として利用されるかなど常に不安が付きまとい、落ち着いて生活する事が、できなくなってしまうかも知れません。また不法投棄や敷地内から悪臭が漂っていたりすると、地域全体のイメージを悪化させる原因になってしまいます。
事実、当社でもこういった相談はよくあります。「とにかく近隣に迷惑をかけているのが苦痛だから早く売ってしまいたい」というものです。
空き家にかかる税金
次に、空き家にかかる税金のお話です。活用しようが、放置しようが、空き家には当然のように固定資産税がかかります。加えて都市計画税を支払う必要があります。これら2つの税金は、市町村が定める「固定資産税評価額」に基づいて税額が決められ、その不動産の1月1日時点の所有者に対して請求されます。当社でも「自分たちも家を持ち子供も独り立ちし今後、誰かが住むこともない家にずっと税金を払い続けるのは・・」とご相談をうけ、買い取らせて頂いた事例があります。
空き家を解体したら6倍の課税⁉︎
上記の2つの税金は「住宅用の特例」を受ける形で優遇を受けています。この特例の適用を受けるための要件は「住宅が建っていること」です。つまり、空き家を解体して更地にしてしまうと、適用を受けるための要件から外れて固定資産税が一気に6倍にまでなってしまう可能性があるのです。
空き家対策特別措置法
さて、国は増え続ける空き家問題に対処するため、2014年に空き家対策特別措置法を制定しました。空き家対策特別措置法では倒壊の危険や周辺の環境の悪化につながる可能性のある空き家を「特定空き家」とする法律です。特定空き家に指定されると税金の優遇が受けられなくなり、所有者は空き家を所有し続けることの意味がなくなります。特定空き家に指定されると、行政が撤去などの強制対処をとることもできるようになります。
〜 空き家譲渡所得の特別控除の特例〜
上記のような事情を加味し、それなら売ってしまおうと思っても、譲渡所得に対する税金がかかってしまいます。このような場合には、「空き家の譲渡所得の3000万円特別控除の特例」の適用を受けることによって、譲渡所得に対する税金がかからかくなったり軽減されたりします。
空き家の譲渡所得の3000万円特別控除の特例とは?
空き家となった被相続人(亡くなった人)の住まいを相続した相続人が、耐震リフォーム又は取壊しをした後にその家屋又は敷地を譲渡した場合にはその譲渡にかかる譲渡所得の金額から3000万円を特別控除するというものです。
空き家に新たな価値を!
政府・地方自治体体の取り組み
空き家バンクの設立
「退職後は田舎でのんびり暮らしたい」という都市生活者などを対象に、移住を促すための施策が「空き家バンク」です。地方自治体が空き家登録を募り、web上で物件情報を公開して借りてを探すというマッチングサービスです。
DIY型賃貸の普及
空き家の中でもとくに戸建住宅の賃貸利用を促進するために、政府主導で取り組んでいるのが「DIY型賃貸」と呼ばれるものです。借主側が費用を負担して修繕やリフォームをおこなった場合でも、退去時の現状回復が不要になるという制度です。本来なら修繕やリフォームは貸し手側がおこなうものですが、経済的な理由でそれができない所有者が多く「貸した方も貸さない」状況が空き家活用を阻んでいた側面があったことと、借りる側も「自分たちの生活スタイルにマッチした生活空間に変えたい」という、貸し手と借り手のニーズを満たすことで空き家の活用を促す目的があります。
空き家の公的活用
空き家を仮設住宅や避難所、備蓄倉庫ときて利用したり、なかには老朽化が進む公営住宅の代替え施設として空き家を活用する自治体や公民館や図書館として活用する自治体も増えています。
宿泊施設として利用
東京オリンピック・パラリンピック開催に伴うインバウンド需要増加に対応するため、政府は国家戦略特区である東京や大阪の一部エリアで旅館業法の規制を緩和し、空き家や空き部屋を再利用して宿泊できるよう整備を進めています。
空き家に対する補助金制度
空き家活用を促進するため、各種補助金制度を整備する自治体も少なくありません。
お住まいの地域で行政・地方自治体が空き家活用に対してどのような施策を打ち出ししているのか、またどのような補助金制度を用意しているかを知るには当該市区町村に問い合わせるのがもっとも確実です。
まとめ
- 空き家を放置しておくと地域社会にとっても所有者にとっても不利益になる。
- 官民挙げての空き家対策に注目しておこう。
- 自治体の補助金制度や助成を上手に活用して賢く空き家対策を。
放置したままでは何かと厄介でも、上手に活用すれば得がたい収益源にもなり、場合によっては社会貢献にもなる存在が「空き家」です。それを活かせるかどうかは、空き家への正しい理解と情報収集次第です。例えば「空き家」に今後、移り住むもしくはリフォームして賃貸にして収益を得る、などの具体的な活用方法をお考えでないのなら、思い切って売却されることをオススメします。空き家を管理せず放置し、いずれ…近いうち…来年あたり…そう考えてる間にも「空き家」の老朽化は進み、知らず知らず迷惑をかけてしまうこともあるのです。当社では引き続き、気持ちよく空き家を保有するご提案もさせて頂きますので、ご売却のご相談に合わせてお話しお伺いさせて下さいませ。
空き家の活用方法は様々ですが、一般の方にとっては不動産会社を通じて売却する(仲介売却)、不動産に直接買い取ってもらう(不動産買取)がもっとも現実的な選択です。毎年の固定資産税納付やわずらわしい維持・管理から解放され、しかも相応の現金を手にすることができるからです。
えんぱ地所に出来ること。
空き家には、様々な事情が存在しているものですが、当社でも月に10件以上の、空き家に関する相談を受けています。うち半数以上が大阪市生野区、東住吉区の長屋・連棟式住宅です。長屋・連棟式住宅は土地の境界が不明もしくは、隣地と長らく境界で揉めている、壊すにも切り離しが不可能なケースや了承を得られない等、問題を多く抱えています。しかし、当社ではこういった場合でも現状のまま、買い取らせて頂いております。どんな不動産にも、何かしら価値があり、必ず買いたい人がいるというのが当社の教訓です。問題を抱えた不動産をお客様とひとつずつ解決していきながら、次の時代に物件を生まれ変わらせることが、当社の使命と考えております。相談していただいた人の中には「あれやこれやと一人でずっと悩んでいたけど、もっと早く相談すれば良かった」とお一人で悩まれ、道に迷っていたケースもありました。「空き家」について、さまざまな角度からご提案させて頂きますので、お気軽にメール・またはお電話にてお気軽にご相談ください。
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